エンバリオのパートナーであるスペインのViscofan社は、エンバリオのサステナブルなポリアミド6「Durethan®」を用いた、革新的な多層構造のソーセージケーシング「eFAN」を開発しました。
ソーセージケーシングは、ソーセージの包装資材で、一般的に人工ケーシングにはプラスチックやコラーゲンなどが使われ、ソーセージの形状を保ち、鮮度と風味を保護します。
極薄でも食品を腐敗から守り保存期間を延ばせるポリアミド6製の多層構造ケーシングは、食品ロスとCO2排出量の大幅な削減に貢献します。包装フィルム製造やリサイクル時に生じるCO2排出量は、相対的にごくわずかになります。肉製品などの食品メーカーは、リサイクル原料やバイオ素材由来のケーシングを採用することで、化石燃料への依存を低減し、製品のCO2排出量をさらに削減できます。
Viscofan社と共同開発したこの新しいケーシングの外層には、エンバリオの「Durethan® BLUE」のポリアミド6を使用しています。廃食用油を原料とし、ISCC PLUS(International Sustainability & Carbon Certification)基準に準拠したマスバランス方式で製造されているため、従来の化石燃料由来のポリアミド6と比べてCO2排出量を約80%削減できます。
内層には、同じくマスバランス方式でポストコンシューマーリサイクル原料から製造された直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用。化石燃料の使用量削減と資源の有効活用、循環型経済への貢献を実現しています。
廃食用油由来のポリアミド6原料は、化学処理を経てカプロラクタムに変換され、熱可塑性樹脂の原料となります。このカプロラクタムは化石原料由来のものと化学的・物理的に同一であるため、製造されるポリアミド6は従来品と同等の特性、品質、加工性を持ち、技術仕様や認証要件も満たしています。
この持続可能なポリアミド6を使用したソーセージケーシングは、従来のプラスチックケーシングと同様の特長を備えつつ、酸素透過を最小限に抑えることで食品の保存期間を延長します。無味無臭のポリアミド層が香りの損失を防ぎ、ソーセージ本来の風味を保持。内層は優れた製品親和性により脂肪やゼリーの付着を防ぎ、製品の外観と保存性を向上させます。
製造工程でチューブ状フィルムを縦横方向に二軸延伸することで、ケーシングの内部構造を調整し、製品ごとの仕様に最適化しています。Viscofan社は、柔軟性、引張強度、切断・剥離特性、収縮率、温度適正(-18°C~121°C)などの重要な特性を実地試験で厳しく検証・最適化しました。
製造されたフィルムチューブは20~100メートルの長さにカットされ、1メートル未満の長さに圧縮されてコンパクトな形状で出荷されるため、食品加工施設での取り扱いが容易です。ソーセージだけでなく、チーズ、スープ、ソースなどの液体食品を含む様々な製品に対応できるオールインワンソリューションです。
この新しいケーシングシステム「eFAN」は、Viscofan社との4年以上にわたる共同開発の成果です。Viscofan社は、食品業界向け人工ケーシングのグローバルリーダーとして、セルロース、非食用コラーゲン、ファイバー、プラスチック製ケーシング、そして食用コラーゲン製品(ケーシング、フィルム、パウダー)に関する高い専門性を有しています。また、特定の製品要件に応じた植物由来のヴィーガンケーシングも提供しています。
テクニカルマーケティングマネージャー
Wolfram Littekは、エンバリオのPA 6フィルムグレードのテクニカルマーケティングマネージャーです。彼は2006年以来、この役割でPA 6フィルムグレードを監督しており、彼の責任はPocan®、Durethan®ベース樹脂、ガラス繊維、カプロラクタム、シクロヘキサノールにまで拡大しています。このポジションでは、顧客と製品開発部門と生産部門の両方をつなぐ橋渡し役を務めています。
20 March 2025
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